2021年の大晦日に(2):ゼロ地点
大晦日だから文章を書こうと思ったら、『小名木川物語』パンフレットの個人的な話をしっかりしたくなったので、こちらは簡単に。
いま人生何度目かのゼロ地点にいる気分です。長い間、正確には9年ほど携わってきた一つのことが終わったから。『小名木川物語』はこれからも機会があるごとにお披露目することになると思うし、作品としてまだまだ育ってくれることを願っているけれど、ようやく手が離れた。あの仕事が終わったら、また映画のことをやらなければ…と思うことは、もうないだろう。
今年2021年はこの作品と一体となって進む最後の年だったと今改めて思う。9月初めにオンライン上映会の実施、アフタートークの企画と事前収録、「小名木川物語」展の開催を決めてからはパンフレットの制作追い込みと同時並行となって怒涛の毎日だった。でも最初の上映から4年経ってもこんな機会があることがありがたい限りだったので何とかやれた。上映会も展示も企画してくれた黒崎亜弓さんのフレッシュなエネルギーのおかげでもあった。
自分事であるのは間違いないが、作品のことを考えたり、PRなどをやっていると、どんどん自分が二の次になり、自分がなくなっていくような、自分を守ることを忘れてしまうような気がした。映画なのでチームワークの産物なのだが、作者の一人として作品と自分が一体化して、ある意味では自分が消えた。
世の中に自分の作品と言えるものが存在していることは幸せだと思う。また映画製作にかかわっていただいた方とはすっかり長いお付き合いになっている。かけがえのない、とはこのこと。映画と直接関係のない、そら庵での数々の出来事、出会いも。
そうしたことを心の糧としてゼロ地点に立っています。
ゼロ地点、なんだか風通しがよくて心地いいです。
詳細は書きませんが夏頃は一時体調が悪くなり、不安な毎日が続いた。あの頃のことを思うと、その後の4か月走り続けてこられて本当によかった。
お心遣いいただいたみなさまに感謝です。