「山伏入門」ご報告〜山の民として

写真家・柔術家の井賀孝さんと著述家・編集者の畑中章宏さんによる
ミニシンポジウム「山伏入門」を19日土曜日に開催しました。
おかげさまで多くの方にご来場いただき、熱気あふれる素晴らしいイベントとなりました。

井賀さん(左)と畑中さん。
『山をはしる―1200日間山伏の旅』を3月末に刊行された井賀さんは
和歌山市のご出身で、数年前から奈良の吉野〜熊野、そして新潟の八海山などで
折々に山伏修行を行ってこられました。
神社と宿坊の案内書『神社に泊まる』という著書のある畑中さんと、
修験道やその周辺のテーマについて対談形式で語っていただきました。

井賀さんは、心身ともに深い体験をされたからでしょうか、
静かでありながら強烈なパワーを発していらっしゃって
お言葉にとても説得力がありました。
修行の体験談のみならず、たくさん興味深いお話を聞かせていただきました。
たとえば江戸時代、富士山に登るためにグループを作ってお金を出し合った
富士講」や、東京のあちこちに残る富士塚のことなども。
行者だけではなく、庶民も昔から(手軽に)山を信仰してきたということですね。


畑中さんは井賀さんから巧みにお話を引き出しつつ、
さらに詳しい解説を加えられました。
柳田国男は、既存の宗教がすたれたときに天狗が姿を現すと
書いているとのこと。天狗が何者か、はっきりした答えはないけれど、
修験者が天狗に近いものだとすれば
現代はまさにその時代なのかもしれない、、、
など、面白いお話の連続でした。
宿坊の料理のお写真も見せていただき楽しかったです!
『神社に泊まる』でご紹介されている神社と宿坊を
ぜひ、ぜひ訪ねたくなりました。近場なら大山です(笑)

『山をはしる』には、井賀さんがなぜ「山をはしる」ことになったか、
ご自身の半生を振り返るところから書き始められていて感動的です。
そして東京で3・11を経験され、まったく原稿を書けなくなったことを
当日もお話になっていましたが、エピローグで触れていらっしゃいます。


当日は初夏らしい好天で、まだ明るいうちにスタートしましたが、
開演から2時間を超えて終了する頃には、すっかり暗くなっていました。


井賀さん、畑中さん、出版元の亜紀書房さま、
そして長時間ご静聴いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
井賀さんは5月31日にも三省堂書店トークショーを予定されています。
また畑中さんには、7月末ごろに新たなイベントを企画していただいていますので
後日チェックしていただければ幸いです!


個人的にも奈良や和歌山あたりが大好きで、とても興味のあるテーマだったので
感謝感激の夜でした。