能『隅田川』

本日は目黒の喜多六平太記念能楽堂
『天籟能の会』による能『隅田川』を観劇してきました。
能楽師・安田登さんらにより、
隅田川』を楽しみための事前ワークショップが昨年末から開催されていました。
能については全然知らないも同然でしたが、思い立って第1回に行ったところ、
内容も寺子屋的な開催方式もあまりに楽しくて全5回のうち4回通ったので、
結局今日の本公演は店を休みにして行ってきました。いやー、すみません!
ワークショップの内容と本日の演目はこちらです。
http://www.tenrai.or.jp/noh.html

能『隅田川』は人買いに子どもを奪われて物狂いになった母親が主人公(シテ)。
子どもを探して京から隅田川まで旅をしてきたが、
子どもはちょうど一年前の3月に川岸で亡くなったことを渡守から知るというお話。
東日本大震災から2年経ち、気がつくと亡くなった方がただの数になっていく。
そこで鎮魂を込めて『隅田川』を上演したかった、と安田さん。
震災で子どもを亡くした親御さんの姿と物狂いの母親が確かに重なって見えて切なかった‥
念仏の場面では地謡も「南無阿弥陀仏」の合唱に。


舞台には渡守の竿と子どもを埋めた塚しか出てこないのに、舟と川がぼんやり見えました。
簡素で豊かな世界ですね。
また事前WSで取り上げられた文章もしっかり聞き取れたので嬉しかったです(笑)
『金津地蔵』(狂言和泉流)も上演。
こちらはひたすら楽しいお話で聞き取りも簡単でした。


「幻覚妄想をみんなで観ることによって癒される」のが能(WSにて)。
今日の『隅田川』もそうでしたが、ほとんどの演目が
あちらの世界とこちらの世界の境目を描いているんですね。
もっと観てみたいです。
初心者にもやさしいワークショップを開催いただき感謝しています。
(安田登さんは多忙を極めていらっしゃいますが、
そら庵でもWSを開催していただけるかもしれません!興味のある方はお知らせください)