万年橋と亀と富士


大胆な構図!しかも亀!
…いや、安藤広重の「名所江戸百景」のひとつ「深川万年橋」ですから
すごいのは当然ですが、
恥ずかしながら今までこの絵のことは知らなかったのです。


北斎の「富嶽三十六景」シリーズの「深川万年橋下」は
何かと目にする機会が多かったのですが。
(たとえばコチラhttp://d.hatena.ne.jp/sora-an/20091005/1254760269


にわか仕立ての知識ですが、この絵の黒い部分は橋の欄干で、
黄色い部分は、亀を吊るしている手桶の提げ手で、
手桶は、亀売りのものだそうです。
で、「亀は万年」だから亀なのかと思いきや、
どうもそれだけではないようで。


広重の活躍した幕末には、
放生のための亀売りがあちこちの橋詰めにいたのだそうです。
放し亀とは、後生を願う人や、殺生を嫌う信心深い人が、
捕らわれている生き物を放して自由にしてやる習わしで、
寺や神社でも放生会という儀式を行っていたとのこと。
この絵の出る少し前に、深川八幡で放生会が行われたので
これを聞きつけた版元か広重に絵心が起きたのでは、という説があります。


それにしても「万年橋」と書かれていなければ
どこの橋かわからないほどですが、どうやらそれにも理由が。
北斎の「万年橋」へのライバル意識らしいです。
広重は「北斎は富士をあしらいのようにしか描いていないが
自分はそのままを写す」と言っています。
その結果がでっかい亀さんのようです(^^)


前置きがすっかり長くなりましたが、
写真の品を今日お客様からいただきました。
素敵なコレクションがまた増えました!


昔は富士山見えたんですよね。今も見えたら最高でしたよね〜。
富士山、もう何年も見てないのです。ここから一番近い名所はどこでしょう?